みなさんこんにちは。minisatoと申します。
今回は本ブログの主なテーマから少し外れますが、現在ニュースで大きな話題となっている埼玉県八潮市の道路陥没事故の原因と考えられることについてまとめていきます!
私は水道に関連する企業に勤めており、今回の事故を他人事と思えず、みなさんにも危機感を持ってほしいと思っています。
道路陥没事故の原因を知り、日本の上下水道の状況について理解を深めていただけますと幸いです。
2025年1月28日埼玉県八潮市の道路陥没事故概要
2025年1月28日午前9:50頃、埼玉県八潮市内の道路にて全長8メートル程のトラックが深さ5メートルの穴に運転席から突っ込む形で転落しました。
転落当時は運転手とも話ができる状況でしたが、穴の内部がその後も崩落を続けた影響で人による救出は断念、クレーンによりトラックを持ち上げようとするとワイヤーが切れ失敗したようです。
その後も救出を試みますが、29日未明には付近の道路も陥没し穴は2ヶ所になりました。同日、クレーンによりトラックの荷台部分は引き上げられましたが、肝心の運転席は引き上げられませんでした。
30日にはさらに道路が崩れ、2つの穴がつながり大穴となりました。この時点で穴の深さは15メートル程だったようです。
これだけの大穴ですので、地下に埋まっていたボックスカルバート(コンクリートの大型管)も破損し、アスファルトとともに穴の内部に散乱し作業の障害となりました。
事故後の対応
次々と崩落していく状況下で救出作業者の安全を確保しながらの作業は非常に困難と推測されます。そんな中、1月30日から2月1日にかけてスロープを形成し重機を穴の内部に入れる環境を整えました。
しかし、スロープが完成した矢先、穴の内部の水位が上昇し作業は中断となりました。2月3日からは1本メンバーのスロープの拡張と、2本目のスロープ形成に当たります。
陥没した道路の地下には直径4.75メートルの大型の下水道管渠(かんきょ)が埋まっていたとのことで、2月5日からはドローンによる下水道管内の調査が実施され、トラックの運転席が管内にあることが確認されたものの、事故発生から9日となる2月6日現在、運転手の姿は確認されていません。
1日でも早く運転手が見つかることを願っています。
事故発生の原因
下水道管渠の腐食
先ほども少し触れた通り、陥没した道路の地下には直径4.75メートルもの非常に大型の下水道管渠(かんきょ)が埋まっているとのことで、道路陥没の原因はこの下水道管渠の破損と考えられているようです。
この下水道管渠内には、1/3程度の高さまで汚水が流れている状況だったとのことで、汚水の影響で硫化水素が発生し、下水道管渠の腐食の原因となりました。
特にこの場所は曲がり部であったことと、傾斜が緩やかであったことから汚水が滞留しやすく腐食しやすい場所だったようです。
軟弱な地盤
さらに、この場所は砂を主体とした軟弱地盤であったと言われています。
このため、以下のような流れで道路陥没に至ったと考えられています。
- 下水道管渠が破損(穴が空く)
- 下水道管渠内に土砂が流れ始める
- 軟弱地盤のため次々と下水道管渠に土砂が流入
- 地面に空洞が出来る
- 支えがなくなり、地表のアスファルトが崩壊(道路陥没)
耐用年数は?
一般的に下水道管の耐用年数は50年と言われていますが、本事故現場の下水道管渠は1983年の設置であり、設置から42年だったようです。
耐用年数より早いペースで老朽化した原因は上記の通り、汚水が滞留しやすく、想定より硫化水素が発生しやすかったためと思われます。
道路陥没を再現したわかりやすい実験動画紹介!
道路陥没事故は上述のような原因で起こったとされており、実験により再現している動画を見つけましたのでご紹介します!
藤井基礎設計事務所によるYouTubeチャンネル「藤井基礎設計データ」にて公開された動画となっています。
透明な箱の下部に下水道管渠を模した管を設置し、砂を詰め、砂の上にアスファルトを模した赤い材料を敷き、その上に車を置いています。
管に水を流しながら穴を空けると、次々と砂が管内に流入し、地下に大きな空洞が出来る様子がわかります。(動画ではアスファルトを模した赤い材料が落ちませんでしたが、現実的には支えるものがないためアスファルトは落ちることになります)
まとめ
本記事では2025年1月28日に埼玉県八潮市で起きた道路陥没事故の概要と原因についてまとめました。
参考にしたニュース記事はこちら(NHKニュース)
- 2025年1月28日埼玉県八潮市内の道路に突如空いた深さ5メートルの穴に全長8メートルのトラックが転落
- クレーンによるトラック救出を試みるも、引き上げられたのは荷台部分のみ
- 穴は時間の経過とともに拡大し、救出作業難航
- スロープ形成により穴の内部に重機投入
- ドローンによる調査で運転席が下水道管渠内で見つかるも運転手は行方不明のまま
- 道路陥没の原因は下水道管渠の腐食+軟弱地盤
- 事故現場の下水道管渠使用年数は42年で耐用年数50年には達していなかった
このような大きな事故は国の方針に影響を与える可能性が十分考えられます。
本ブログでも、この事故を機に上下水道における課題などについて業界人でない方にもわかりやすく伝えていきたいと思いますので、気になる方はぜひ読んでみてください!
最後まで読んで頂きありがとうございました!
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